テレビとネットの将来への疑問

ここ数年、会う人にテレビの将来とか、ネットメディアはどうなるかについてよく聞かれる。
正直、そういう話題には、ぼくは本当に興味がなくて、そのたびになぜ興味がないのか、ぼくは本当はなにがしたいのか、力説するのだが、なかなか信じてもらえないし、理解もされないのだ。


しかし、何度も他人に尋ねられるうちに、さすがに多少テレビの将来とかを考えるようになった。だからといって別に回答はなく、むしろ逆にどうなるのか僕がいろいろ知りたいことがある。あまりまとまっていないが、思いつくことを適当に書き記してみる。


最初の疑問。双方向性はどれぐらい必要とされているのか。


まず、テレビにyoutubeとかustreamとかの動画や生放送サービスがとって変わるかという、よくある質問についてだ。両者は違うものなので、youtubeustreamがテレビの役割をごく一部は担えても置き換えることはありえないと思っているというのがとりあえずのぼくの答えなのだが、もうすこし真面目に望まれていそうなこたえを探してみるのであれば、テレビがいまのかたちで生き残るかどうかは人間というものがどれくらい双方向性を求めているかで決まると思っている。


地デジにも双方向機能があるじゃないかという意見もあるかもしれない。まあ、でもそれが4色のボタンを指しているのであれば、まあ、あんなものじゃほとんど意味はもたないだろうと思っている。アクトビラのような+++はどうか?あれすらも中途半端だ。HTMLなどのWEB標準技術と互換性がないというのもひとつだが、もうひとつはやっぱりオープンなプラットホームではないのが致命的だ。IPhoneiPadの例があるから、もちろんそれに先だってiモードの成功例もあるが、いずれもある程度のオープン性が重要になる。そうなると電波は公共のものでどうこうという議論がはじまるだろうから、どうしても後手後手にならざるを得ず、双方向性の分野ではテレビの独自企画はWEB標準技術に市場競争で負けるだろうというのが結論になる。つまり、テレビで双方向の機能が望まれているのであれば、最終的にはPCよりの技術との互換性が重要になるだろう。


とはいえ双方向性を本当にすべての視聴者が必要としているのかには疑問の余地がある。そうなると結局テレビとネットは棲み分ける可能性もでてくる。いずれにしても視聴者が双方性をどれぐらい必要しているかがポイントだ。


第2の疑問は、テレビ放送って本当に電波が必要なのかということだ。


すでにIP網をつかったサイマル放送などはひかりTVなどで行われている。しかし、ユーザ数がすくないからそれはできることで、いまテレビを見ている人が、全員インターネット経由で放送を受信するには、膨大な回線とサーバが必要なので不可能だという話をよく聞く。


でも本当にそうだろうか?いまのインターネット網の帯域が将来的にはどこかのタイミングで完全にテレビ放送用の電波を置き換えることが可能になるんじゃないだろうか?そのロードマップを把握するのがテレビ側のひとにとっては大事なんじゃないかとぼくは思う。


どっちにしてもIP網でサイマル放送が一般的になっても一部のユーザしか当初は使わないだろうから、帯域もそれほどは必要とされないのではないだろうか、そう考えると思ったよりスムーズにIP網でテレビ放送を流すことがスタートできるような気もする。


テレビがIP網で流れるようになったとして次のポイントは、それはマルチキャスト技術を使うのかどうかだ。ぼくはマルチキャストはあんまり普及しないんじゃないかと思っている。それだと電波を使って放送するのとあまりサービス的には変わらないからだ。理由のひとつはマルチキャストだとタイムシフトに対応できないことと、双方性に制限がかかるからだ。マルチキャストをつかわなければ、別に過去の放送をみようが5分前の放送をみようが自由自在でローカルにビデオデッキも不要だし、ひとりひとりのユーザに同じ映像を見せる必要すらなくて、ユーザの属性や操作に応じてカスタマイズした映像を配信できるのだ。そういった視点でマルチキャスト技術をつかわずにどれだけのユーザにネットで配信可能なのか、日本や世界のインターネットの基幹インフラが今後どういう風に増強されていくのかのロードマップを把握することは大切に思う。ちょっとぼくも書いてて知りたくなってきた。


ぼくの疑問は以上の2点だ。このふたつとあとは米国での状況をウォッチしていればテレビの今後について見通しは立てられるのじゃないかと思うのだが、最初に書いたようにぼく自身は本当にあまり関心がない。