ネットでバズマーケティングとかいっているやつはみんな糞

なにが糞って、ようするにネットで口コミをつくるとかいっているやつは、アムウェイマルチ商法的にユーザを販売員にしたてあげることをもっともらしく、バズマーケティングとかいっているにすぎないからだ。


みんなが期待しているのは、ネットの口コミで大成功するwebサービスをつくったり、音楽やゲームがヒットしたり、流行をつくる構造ってできないの?ってことだと思うけど、そういうことを説明するひとは見たことなくて、だいたい、単純にユーザに金とかポイントあげてなにかを宣伝させましょうっていうのが、現在のバズマーケティングとかいっているひとのしゃべる内容だ。


それってSPAMエンジンを人間でシミュレートさせているだけじゃないのか?機械にできることは機械にやらせとけと、google様もおっしゃっておられるではないか。


というわけで、ネット(に限らないけど)口コミでヒットをつくることってどういうことかを考えてみた。
といってもマーケティングの理論とかまったく勉強したことのない我流のたわごとである。


まず、ヒットとはなにかというと、一種の相転移現象であると理解する必要がある。(※我流理論です)
相転移というのはなにか臨界点があって、それを超えるとヒットという現象になるということである。
つまり、人間はなんとなく宣伝の量とか商品の品質の程度によって、比例的に売上げが伸びるようなイメージを抱きがちだが、そうではなくて、宣伝の量とか商品の品質がある程度を越えると突然売上げが跳ね上がる現象がある。それがヒットするということだ。


ある商品がヒットすると、社会のほぼだれもがその商品のことをしっていて、会話のときに話題にあがり、ユーザは勝手に友達に薦めはじめるようになる。


こういうヒットをどうやって口コミでつくればいいのだろうか?


ヒットを決める重要な要素はふたつあって、ひとつは宣伝=露出の量であり、もうひとつは商品の品質=ネタとしての優秀性である。
まず、簡単に思いつくのは(商品の品質=ネタとしての優秀性)がとてつもなくいい場合である。たとえば無修正ポルノ画像が無料で見放題のエロサイト、もしくはだれの着うたフルでも無料でダウンロードしほうだい、とかいうようなサイトをつくれれば口コミだけでも相当広がるだろう。


でも、まあ、そこまで訴求力のある商品の品質はまともな方法でつくるのはとても難しい。


ところが、それぐらい訴求力のある商品でないと相当品質が高い商品でも口コミというのはなかなか自然発生しないのだ。
実は口コミの発生とは、宣伝=露出の量というのが非常に重要に関係にある。自分におきかえて考えると想像してみてほしいが、人間はみんなが知っているものについては口コミで人に伝えたくなるという性質をもっているからだ。ある商品をつかってみて、いいと思ってもなかなかそれを人間は他人にしゃべったりはしない。ところが、それが世間で話題にのぼっているようなものだと、多くの場合は、それまではいいと思っていなくても、突然、他人に薦めはじめたりする。15秒しかないTVCMが効果的なのは商品の良さをつたえているからではなくて、口コミが発生しやすいまわりのだれもが知っている環境を簡単につくれるからだ。


なんてことを書いていると、口コミを発生させるためにはTVCMが効果的という結論になって、バズマーケティングというよりは普通のマスマーケティングの話になってしまって、身も蓋もない。TVCMだったら、じゃあ、視聴者ひとりに平均5回ぐらいCMを流せば1回ぐらいは見て貰える。認知させるには3回ぐらいみてもらわなきゃいけないとしたら、その3倍でひとり平均15回CMを流せばいいから、1500GRPぐらいスポットはうたないと意味がないよね、とかいう話になってしまう。5大都市ぐらいでやったら、だいたい2億円コースぐらいだろうか。


まあ、でも、そんなことをいいたいのではなく、基本としておさえてもらいたいのは、口コミを発生させるためには、商品のネタと同じぐらいに口コミが発生しやすい環境をどうやってつくるかが重要だということだ。


じゃあ、TVCM以外で口コミが発生しやすい環境をどうやってつくればいいかだが、そのためにはターゲットとするユーザのクラスタを限定することと、そのなか通用している共通記号を利用することが効率が良い。国民全員がしらなくても10代の女の子だけしっていればいいとか、アニメファンだけしっていればいいとかユーザのクラスタを限定するとだいぶやりやすくなる。そして、そのクラスタの中で、サービスをしったユーザが友達に話す確率がどの程度あるかを徹底的に考えればいい。


ずっと前、着ボイスの企画をはじめることになったとき、どういう着ボイスがみんな欲しいだろうかといろいろ議論して、そのときち女性声だったら綾波レイ、男性声だったらシーマンがいいんじゃないかという結論になって、権利取りが面倒だから、似た声の声優を探してきて、つくってみたことがある。ほぼそれっぽいものができて、高校生とかにきかせてみたら、結構、反応もよかった。でも、結局、世の中には出さなかった。それはヒアリングした高校生のほとんどに、面白いと思うし、欲しいけど、学校とかで友達に話す話題にはしない、といわれたからだ。そして、この声がホンモノ=本人だったら、絶対に友達に話すということもいわれた。このヒアリングを受けて収録した音声データは廃棄して、着ボイスはアーティストやキャラクターの権利を大変だけどきちんととりにいこうという方針に変えたのだ。安易にホンモノのほうがいいよね、と決めたわけではなく、あくまで口コミが発生するかどうかが判断の基準だった。


商品の設計をする場合に末端のユーザで口コミが発生するかどうかはわからない、運次第だと思っているひとも多いが、そんなことはない。ヒットするかどうかはともかくとして末端のユーザで口コミが発生するかどうかは、十分予測できるし、それができるのがマーケティングやる人間の資格だろうとも思う。


末端のユーザで口コミが発生するだけの商品設計が終わったら、つぎは宣伝=露出の方法だ。さっきのTVCMのはなしと同じで、基本的にヒットは相転移現象だから、ターゲットとなるユーザクラスタのほぼ100%に認知が広がると、極端に口コミが加速をはじめる。たとえユーザクラスタを限定しても本当に100%近くまで認知を広げることはとても難しいので、ユーザクラスタの限定方法がノウハウになる。まあ、でも、ネットユーザで特定ジャンルのホットエントリをほぼ毎日チェックしているアクティブユーザぐらいにまでクラスタを絞り込めば、100%近い認知もかなり現実的に狙えるはずだ。重要なのはどんなにクラスタを小さく限定していってもかまわないが、どこかのクラスタで認知度が100%近くにならないと、口コミの爆発はまずおこらない、ということと内部で情報交換されているクラスタを選ばないと単純にユーザを分類しただけになってしまうので口コミの媒体としては意味がないということだ。


さて、口コミさせる商品として内部にコミュニティ的な要素をもったネットサービスの場合は、売りきりの商品とちがって、ユーザ間での口コミを発生させる機構も重要だ。ユーザ間での口コミは周辺にいる人間をバイラルで引き込む重要な要素だ。この場合、話題にのぼる頻度が多ければ多いほどよくて内容は結構どうでもいい。そうした場合、人間はしょっちゅう誉めることをしたがらない性質があるから、明らかにひどい体験をユーザに与えることは、案外、有効な手段だ。商品・サービスの基本的な魅力が十分にあれば、その他の付随することはとても素晴らしいのでなければ、平凡よりはひどいほうがいい。そっちのほうが話題になる。そしてそういうひどい体験は一部のひとがたまたま体験するものではなく、商品・サービスの利用者のほとんどが遭遇するほうが望ましい。


具体例はあげないことにする。