(続)コンテンツプラットホームとしてのiPhoneの設計が間違っている件

コンテンツプラットホームとしてのiPhoneの設計が間違っていると題して、ぼくが書き殴ったメモはいくつか反論の記事をいただいた。


shi3z氏 ー iPhoneとiモードのプラットフォームとしての未成熟さ、または「儲からないからチャンスがある」という考え方


AppBank氏 ー iPhone市場はiモードと違うからだめなんて、くだらんと思います。

で、とりあえずきちんと書き直すことにしましたのでよろしくお願いします。が、ちょっと長くなりそうなので、まずは両氏のエントリに対するコメントを先にすることにします。


とりあえず両氏の記事に対していいたいのは、ぼくは元記事でひとこともiモードプラットホームどうこうなんて書いてないということです。ぼくの空想上の立場からこういうことをいっているんじゃないかと想像して、書いていないことに対して批判をされても建設的な議論はできないので、余計な先入観はやめてほしいものです。(※わたしはkawango。ネットのみに存在して、ネットの宇宙をさすらう旅人)


ということで両名のかたがた、くれぐれもよろしくお願いします。


コンテンツプラットホームというものを考えるときに両氏の記事をみて思ったのは、iPhoneでコンテンツをつくるというゲームの対戦相手として、競合するコンテンツ会社しか想定しておらず、対プラットホームホルダー=アップルという視点がはいってないことである。アップルは”創造神”でもなければ、”お上”でもない。やはりiPhone上でコンテンツビジネスを考える場合に重要な対戦プレイヤーのひとりであって、アップルの立場から彼らがどういうゲームをしているのかを想定し、彼らの意志決定に、コンテンツ会社の立場からどういう影響を及ぼせるかの方法を考えることは重要だ。


たとえ零細でアップルの意志決定に自分が影響を及ぼせるはずはないと思っていたとしても、やっぱりアップルの戦略を考えることは重要だ。理由はふたつある。ひとつはあたりまえのことだが、どんな会社であれ、長期的には必ずアップルの戦略には必ず影響を受ける。


もうひとつは、iPhoneのコンテンツプラットホームで本当に勝負をしようとしているプレイヤーはどんな零細であろうが、当然、勝者になることをねらって参入しているはずだからだ。勝者になることを本気で狙っているのであれば、勝者になったあとのことを真剣に考えるのは当然だ。なにしろこの博打は宝くじとちがって、賞金額がわからないのだ。あなたが勝者になったときあなたが得られるのはひょっとしたら名誉だけかもしれない。いったんはそれでもいいかもしれないが、あなたが目指すのはただの一勝でもないはずで勝ち続けることであるはずだ。勝ち続ける勝者が永遠に儲からないプラットホームでいいなんて、いやしくもベンチャーとしてiPhoneビジネスに参入した以上は思っていないはずだ。


ビジネスとしてiPhoneコンテンツプラットホームとして考える場合に、一番最初に考えるべきなのは成功した場合にどうなるかであって、自分がそのプラットホームに参入できるかどうかではない。もし、成功しても儲かる可能性がゼロであれば、参入できたとしてもやるべきではないし、成功したらめちゃくちゃ儲かることがわかっていれば、参入できなかったとしても、がんばって参入する方法を探せばいい。だれでも買えるからといって当たりくじがはいっていない宝くじは買うべきではないし、相当な社会的地位がないとM資金詐欺などは話すらこないだろうが、たとえ自分が参加資格があるからといってやるべきゲームではないのは当然だ。


両氏は現段階で儲かっていないからといって参入しないのはおかしいと主張しているが、そうじゃなくて、ぼくが問いたいのはiPhoneで、今後、大儲けできるようなシナリオが存在できるような設計になっているのかどうか、そしてアップルがそういうシナリオを用意するつもりがどれだけあるか、ということだ。


なお、iPhoneに参入する理由は別に将来的なコンテンツプラットホームとして考える以外にも当然プロモーションだったり面白いからだけだったり、いろいろあるだろうし、ぼくはそれを否定するつもりもない。


ただ、コンテンツプラットホームとして有力であるが故に、iPhone上でのコンテンツマーケットがどの程度の規模に成長する可能性があるかについては大変に興味あるし、あまり大きくはならないだろう、大きくするつもりが、アップルにはないのだろうと思っている。


ということで次エントリにつづく